SetoKC

アリスとテレスのまぼろし工場のSetoKCのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

作画はさすがMAPPAといった素晴らしいクオリティでした
前半は物語の設定を理解するために脳みそフル回転させながら見てたのでおもしろくはありましたがパッとしない感じでした。しかし、後半からの盛り上がり方はすごく前半のやや退屈な感じを忘れさせる展開で目が離せませんでした。
前半は変わることを禁じられた世界で退屈な日々を過ごす若者たちの重い空気があり、田舎の閉塞感のようなものを感じました。そしてなぜだか変態性のある描写があり、それが個人的には良いなって思いました。少女漫画のようなとても憧れる美しい青春というよりかはどこかリアルで儚さがあり、そして翻弄されるのがとても良かったです。この作品の根幹には恋が世界を変えるというのがあるのかな、なんて見終わったあとに思いました。そして、実は主人公達のいる世界が幻であるというのが分かってから物語は大きく動いていきます。五実が現実の存在であること、現実では主人公とヒロインの子供であることが発覚すると前半に呟かれていたセリフ「臭い」「寒いのか?珍しいな」や若気の至りのような痛みを伴う遊び、ヒロインの「やっぱりオスかよ!」と言って主人公に倒された後に流した涙の意味というのが分かった瞬間この作品実はめちゃくちゃおもしろいぞっとなりました。
後半からの展開はとてもすごく、五実が恋を知って失恋することで壊れ始める世界、世界が変わらないことを知り恋を実らせたことでそれを一生のものにしようとするもの、守るべき者の為に動くもの、それぞれ恋を持っている者たちのそれぞれ違う行動をするのが恋がどれほどの力を持っているのかを表しているようで良かったです。
最初の情報から公開までずっと待っていましたが、待った甲斐がある素晴らしい作品でした。
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