がらがら

アリスとテレスのまぼろし工場のがらがらのレビュー・感想・評価

3.5
岡田麿里監督・脚本によるオリジナル劇場アニメ。

大規模な閉鎖空間モノ。変化ができない、変化が許されない島で少年と少女は恋をする。

岡田麿里の作品は、面白そうに見えるんだけど合わないことが多い。今回も残念ながらそれだった。

独特なSFな設定にはワクワクした。しかも何が起きたのかをすぐに説明するんじゃなくて、一見普通の日常を送っているように見せて、徐々に明かされていく描き方なのも良かった。でもこんなSFな設定でも主軸が恋愛なのがまさに岡田麿里。これが監督の味であり、求められるモノなのかもしれないけれど、個人的にはもっと違う展開を見たかった。この設定なら『ミスト』『パージ』みたいな展開にもできただろうし。

特に気になったのが、製鉄所に住む謎の少女:五実の扱い。アニメの可愛いキャラデザで誤魔化されてるけど、五実に対して行われたことが完全に児童虐待。ファンタジー的な理屈があるのかなと思っていたら、真相が明らかになるにつれて、どんどん言い訳できないことが分かっていって気持ち悪かった。あれに関わった大人は全員終わってる。クライマックスの展開で感動しそうになるのは、主人公たちの頑張りにというよりは、これで被害者家族が救われるという感情のせいだった。

嘘つきな睦実がイソップ童話のオオカミ少年的な意味で”狼少女”、人間的な振る舞いができない五実が狼に育てられた少女的な意味で”狼少女”ということなんだろうけど、睦実の描写が少なくて、嘘つきの設定とか、”六つの罪”の設定とか、あんまり意味があるようには感じられなくてイマイチ感情移入できなかった。むつみは”無罪(むつみ)”とも読めるなーと変換して思ったんだけど、”いたい”の言葉遊びとかもあったし、そういう意味もありそう。
がらがら

がらがら