カタパルトスープレックス

アリスとテレスのまぼろし工場のカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

3.5
岡田麿里監督が厨二病を存分に炸裂させたアニメ作品です。制作は『呪術廻戦』のMAPPA。

理屈より感情。『心が叫びたがってるんだ。』や『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』などの岡田麿里脚本が好きな人は本作も好きでしょう。

テーマは「可能性」だと受け取りました。タイトルにもなっている「アリスとテレス」は哲学者のアリストテレスでしょう。作品内でも言及されているエネルゲイアはアリストテレスの哲学用語。可能性を実現させた状態。可能性を実現させる前の状態、タネの状態がデュナミス。本作の世界は「何も変えてはいけない」という可能性がとじた状態なのだが……という話です。なお、アリスもテレスもアリストテレスも出てきません。

キャラクター造形はいかにも岡田麿里です。もう、厨二病が炸裂しています。好きな人にはたまらないし、苦手な人にはクサすぎるでしょう。ボクはどちらかといえば後者。ストーリーは論理的にはツッコミどころが満載なのですが、キャラクターの感情と勢いで力技で乗り切ります。クールな主人公たちなのですが、徐々にエモくなっていく。感情のオーバードライブ状態なのですが、これが好きな人にはたまらないんでしょう。

MAPPAのアニメーションは流石。虫プロからマッドハウスを経由しての王道の進化系。MAPPAの創業者である丸山正雄の言葉「魅力ある欠陥商品を作りましょう」を体現したような作品。中島みゆきの主題歌は世界観を考えればなるほど。あえて最近の歌手じゃない。