ハル

アリスとテレスのまぼろし工場のハルのレビュー・感想・評価

3.5
漠然と想像してた内容とは180度違う景色が目の前に広がっていた。
奇をてらった構成にもやもやした気持ち。

いきなり工場が爆発し「自分たちはこれまでと違う場所にいるのがわかった」と言われても…同じ場所、姿、形なのに別世界へワープしたかのようなリード。
並行世界?パラレルワールド?みたいな想像を鑑賞者に抱かせ、物語の着地点を悟らせないことで「一体何が起こっているんだ?」的なワクワク感を増幅させたい狙いはわかるけど、パンチ力に欠けてる感は否めなかった。
端的に伝えると隠された秘密のインパクトがさほど…「あ、そうなんだ」と、冷めてしまう。
折角、これまで作ってきた“ウリ”である『意味不明感』の崩壊。

怖さすら滲むほどの驚異的な作画の美しさと反比例するように、いまいち評価が上がってこないのは整合性に欠けたストーリーと設定のせいだろう。
アニメーションに関しては桁違いに素晴らしく、そこは間違いなくトップレベル。

斜め上からアプローチしたジュブナイル群像劇としてのチャレンジ精神は買い。
ただ、もっと各キャラクターの細部を練り込み、話の輪郭をしっかり作ったうえで物語が展開されていけば感想も異なったはず。
ジャンルは違えど『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』を鑑賞した時と同様、迷路に迷い込み置いてけぼりにされた気分。
ハル

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