フィクションとリアリティが同居した見事な活劇映画。
ハングル文字がでかでかと表示されつつも、無国籍というか、北アフリカを舞台にした『15ミニッツ・ウォー』や『エンテベ空港の七日間』の様な欧米映画を思わせる画面作りに一瞬驚くが、登場人物が登場するやいなや僕たちの知っている韓国映画が始まって安心する。
前半こそはコメディタッチの南北間の鞘当てを見せられるのだが、暴動が始まるや剛力な『ホテル・ルワンダ』チックなサスペンスが始まり、最後は怒濤のアクション、そして涙がホロリ・・・というてんこ盛り。それでいて破綻していないのが凄い。
史実を元に・・・と言いつつ、ほとんどがフィクションなんだろうけど、その荒唐無稽な物語を破綻させず、「んなわけないだろ!」と突っ込みたくなる展開にも思わず手に汗握ってしまうのは、大味にならない細かな演出と・・・何よりも差し挟まれる暴力と死のリアリティ。
素晴らしい娯楽映画だった。