くるぶし

モガディシュ 脱出までの14日間のくるぶしのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

韓国の南北関係を描いた名作「JSA」が2000年公開ですが、本質的な対立問題は20年以上たっても何も変わらないのだなぁ…と複雑な気持ちになりました。
韓国人は一体どんな気持ちでこの物語を受け止めるのでしょう。
個人同士はきっかけがあれば心を通わせられるのに、国同士が一切交わらないことで、命がけで共に戦った思いも“なかったこと”になってしまう。
個人の胸の中に留めるしかない虚しさを感じ、胸が痛くなった。

それにしても、モロッコに街一つ分を作って撮影したというスケールの大きさにまず驚愕。さらに韓国人キャスト以外のアフリカ人をあれだけの人数揃えて、しっかりアクションや演技指導をしているというのも恐れ入った。当時の当事者カン·シンソン大使が全面協力しているというのも心強い。

実際は国連加入問題で互いに神経戦は激しかったものの、命がかかった問題なので協力することにためらいはなかったそう。
あと、イタリア大使館への移動は10分弱の距離で、銃弾が飛び交う通りを走り逃げ、その過程で車を運転していた北朝鮮の職員1人が胸を撃たれたとのこと(まさかそこが実話だったとは涙)。クギョファンが数々の映画賞を総なめにしたのはそりゃそうだわ、あんなんずるい。

汗ばみながらの食事風景(エゴマの葉は唸ったー!)など細かいディテールは物語をより強烈なものにしてくれている気がする。
そして子供に銃を持たせるのは本当に心臓に悪いからやめてくれ…

まぁ…どんだけ逃げる車のタイヤに弾が当たらないんだよ!とは思ったけども。

とにかくフィクションと、実話のバランスが絶妙で、韓国映画という括りで「ベイビー・ブローカー」と並列にしたら、断然こちらに軍配が上がるとは思った。
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