mimitakoyaki

モガディシュ 脱出までの14日間のmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

4.3
あー、すんごい面白かった‼︎
映画館で見なかった事を悔やみます。

ソウルオリンピック後、1990年に韓国の国連加盟を目指すべくアフリカでのロビー活動に力を入れていた最中、駐在先のソマリアで内戦が勃発。
外国の外交官も敵とみなされ攻撃対象になったため、北朝鮮と韓国の外交官が協力し、決死の国外脱出をはかるという実話をもとにした作品です。

前半は意外にもコメディタッチで描かれていて、駐ソマリア韓国大使のキムユンソクと書記官のチョンマンシクの冒頭から、もう胡散臭さムンムンで最高です。
キムユンソクの声も表情も一挙手一投足に細かい芸が光っていて魅了されました。
やっぱりほんとに上手い!

はじめは韓国も北朝鮮も国連加盟に向けてソマリア政府の支持を取り付けようと必死で、互いに反目していましたが、弾丸が飛び交う中、命からがら藁をもすがる思いで助けを求めてきた北朝鮮大使館の職員と家族達を見放すことができずに助けたことから、互いに相手を敵として警戒していた関係が、絶体絶命の危機を前に変化していき、みんなで絶対に生きて帰ろうと運命共同体となっていくのが、人間どうしのつながりを感じてとても良かったです。

内容的には、イランからの大使館職員の国外脱出を描いた「アルゴ」に似ていますが、やはりコッチは南北朝鮮モノというのがほんとに強い!
同じ言葉を話し、同じ食文化をもつ同じ民族ですもの、やはりドラマチックなんですよね。
恋人じゃない関係の男女が、エゴマの葉を取る時に手伝うかどうかが韓国で重視されるって話を聞きますが、エゴマの葉を取る時に箸で押さえて手伝ってあげるのは、親密さの表れなんですよね。
だからあの食事シーンがとても印象的で、エゴマの葉だけで、分断されていても同胞なんだと感じさせる上手い描き方だと思いました。

北朝鮮大使館の大使を演じたホジュノも良い味出してました。
ほんとに渋い!
そして参事官役のクギョファンですよねー。
「新感染半島」や「D.P.」ですごく注目されるようになり、「ウヨンウ」でもとっても良い役を演じてましたが、わたしの大好きな「彼とわたしの漂流日記」でめちゃくちゃチョイ役で出ていたので、それなりに長い下積み時代があったのかもしれません。
ほんとに良い役者さんだと思います。

韓国大使の妻役のキムソジンさん、あちこちで見てるわー、どこやっけ?と思ってたら、「非常宣言」のCA役で出てました!
本作では90年代のパーマヘアだし全く印象が違ってたので、はじめわかりませんでした。
また、キムジェファが事務員役で出てて、この人がいるだけで何かおもしろいんですよね。
同じく事務員のパクギョンへとのコンビが印象的(顔が)。
あと、カメオでユンギョンホも最後にサングラス姿で登場!
嬉しいサプライズでした。

はじめは大使のキムユンソクがあまり仕事できそうな人に見えず、笑いも挟みながら楽しく見れるのですが、後半は手に汗握る緊張の連続で、カーチェイスシーンの映像もすごくて驚くし、南北で分断された人同士の絆も良いし、韓国映画のレベルの高さをこの作品でもすごく感じました。

もし分断されてなければ、その後連絡を取り合ったり、再会したり、一緒に酒を飲んだりしたかもしれないですが、それがずっと叶わないっていうのもわかるから、ハッピーエンドなのに切なかったです。

キムユンソク 11作目
クギョファン 6作目
キムソジン 11作目
チョンマンシク 13作目
キムジェファ 12作目
パクミョンシン 19作目
パクキョンへ 7作目
ユンギョンホ 20作目

4
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