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モガディシュ 脱出までの14日間のbluebeanのレビュー・感想・評価

4.0
平和な日常から内戦によって無法地帯に移行する様子がとてもリアルでした。外交官という特権的な立場が徐々に意味を失っていき、戦場の中に生身の人間として放り出されていく流れがゾッとしました。

韓国と北朝鮮の外交官同士の対立と協力が描かれます。内戦の中でお互いの立場を完全に超えて協力する訳ではなく、疑い合いながらも、かすかに歩み寄っていくようなやりとりが交わされます。初めて同じテーブルを囲んで食事をとる時の、箸で食べ物を押さえる瞬間が、そのかすかな歩み寄りを象徴していて好きなシーンです。韓国大使のハンが、脱出の際の持ち物選びで自分の名札を捨てるシーンもなかなかかっこよかったです。それがラスト、それぞれの社会に戻った瞬間に立場の壁がいっきに復活する無力感がまたなんとも言えません。

ハリウッド映画並みの完成度でリアルな戦争を描きつつも、クライマックスでまさかワイルドスピードばりのエンタメアクションシーンを入れて楽しませてくれるあたりが、さすが韓国映画って感じでした。
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