友ニ

モガディシュ 脱出までの14日間の友ニのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

 迫力と緊迫感のある画力で、ラストまであっという間でした。韓国映画の勢い恐るべし。
 ソマリア内戦を描いた映画と言えば『ブラックホーク ダウン』ですが、ほぼ匹敵するインパクト、完全にハリウッドに肩を並べる作品力です。

 銃弾が飛びまくるカオスの街中を、ハードカバー本と土袋で防備したメルセデスとBMWの異様な姿。なりふりかまってはいられない追い詰められた土壇場の知恵とはいえ、運転のしにくさたるや相当なものでしょう。だいいち、効果がどれほどあるのか疑問です。気やすめ程度しかないのではないでしょうか。

 そして南北の違いが如実に見えるのが、大使館員それぞれの家族の表情。同じ民族どうしなのに次第に打ち解け合うでもなく、特に皆での食事のシーンは、普通はお互いに笑顔などが出る和やかなシーンを想像しますが、もう完全に不信感がむき出しです。そんな中でも女性どうしが皿の上でおかずを切り合うシーンは、緊迫した中でちょっとでも気持ちが弛みます。
 実際にはどうだったのか?少なくとも子供達くらいは仲良くなったのではないかと想像しますが、大人たちのやりとりを含めそのあたりをもっと描いてくれたらさらに深みのある作品になったのではないでしょうか。
 
 まるでお互い何事も無かったかのように飛行機から降りてくる、しかし修羅場をくぐり抜けてきた者どうし通じ合っているだろう心情は、日本人には到底わかり得ないものでしょう。
 南北の和解統一が少しでも早く実現することを願います、

 ケンカっ早い部下二人の、お互い似た者どうしのBLっぷりやライフル銃で威嚇してくる10歳前後の子供の、ある種滑稽とも言える異様さ。
韓国&北朝鮮大使館と対比して描かれているイタリア大使館の、白一色のまるで天国のようなリゾート感。等々、他にも語りたいことがありすぎる作品です。

 戦争と暴力は絶対にあってはならない。

 
 
友ニ

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