磨

半狂乱の磨のレビュー・感想・評価

半狂乱(2021年製作の映画)
3.3
人生詰んだ劇団員達が起こした劇場占拠事件を描いた青春クライム・スリラー作品。

現在で起きる物語を続けながら、順番に過去に戻りながらどうしてこうなったかを明かしていく構成はけっこう好き。「カメ止め」亜種みたいな感覚はなかなか楽しい(かなり闇堕ちしてるけど)

ただ、物語はかなり強引。舞台に至る経緯もそうだし、舞台があの感じで終わる訳がないと思う。役者だけでなくそこの人たち全員サクラなのかと(笑)
ラストはなかなか良いんだけど、だからこそちょっと惜しい。

生き辛い社会に対する怒りをテーマに描いた作品はよくあるが、途中からから1ミリも共感できない…。もはや“私はいったい、何と闘っているのか”状態。「狂視」「超擬態人間」、クセ強すぎ作品ばかりの藤井秀剛監督がこのテーマで作品を作るとこうなってしまうらしい。


半狂乱、ちゃんと意味のある言葉だけど、この映画はもう少し重い、《全狂乱》の方が近いかも(笑)
磨