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異動辞令は音楽隊!のKUBOのレビュー・感想・評価

異動辞令は音楽隊!(2022年製作の映画)
4.2
今日2本目の試写会は、阿部寛がアメリカで行われたニューヨーク・アジアン映画祭でスター・アジア賞を受賞したことでも話題の『異動辞令は音楽隊!』完成披露試写会!

あの『ミッドナイト・スワン』の内田英治監督がコメディ? いえいえ、これはただのコメディじゃありません!

もちろん笑えるところもあるけど、時代に取り残された男の再生の物語。感動の物語だった!

容疑者を締め上げて「吐かす」ことが当たり前の昭和のままの刑事「成瀬」(阿部寛)。令和の時代にやり過ぎて、出た異動辞令の先が「警察音楽隊」。

この映画、共感ポイント多いんだけど、この辞令出される時の署長と成瀬の会話。私も昔、まるで経営者みたいな校長と同じような会話したなぁ。昭和の遺物同士、よく気持ちがわかる!

また、シングルマザーでトランペット奏者春子役の清野菜名。成瀬と絡む大事な役どころなんだが、春子は元々音大出で、音楽ができるから最初から音楽隊を志願して警察官になった変わり種。

私もその昔音楽をやってたけど、教師になって、軽音楽部の顧問になって、ずっと放課後生徒たちとギター弾いてたから、すごい気持ちわかる!

で、予告編の印象だと、ここから始めての楽器演奏に四苦八苦するコメディの始まりかと思うけど…

実は、それだけじゃない!

右も左もわからない音楽隊に配属されて、そこから成瀬は音楽だけでなく、何を学び、どう乗り越えていくのか?

それが本作のポイントなんだ!

この「警察音楽隊」を映画にしたのは、実際に内田監督がこの警察音楽隊の演奏を聞く機会があって、その時に着想を得たと舞台挨拶でおっしゃっていたが、そこから単なるコメディにして演奏会成功させてめでたしめでたしなら誰でもできる。そこから、ここまでの感動の作品を作り出す脚本力! 素晴らしいオリジナル脚本だ。

そして肝心の演奏は、なんと、キャスト本人が演奏しているというからビックリ!

内田監督は、楽器なんて今までやったことがない刑事を演じるんだから、キャストも初めてでいい(!)という気持ちで、みんな初心者でキャスティング。阿部寛も、清野菜名も、高杉真宙も、みんな練習しながらの撮影で、自然に上手くなっていく過程が撮られているという奇跡!

舞台挨拶で、みんな阿部寛のドラムがカッコいい(!)とベタ褒めだったけど、確かにカッコよかったけど、個人的には音出すこと自体難しいトランペットに挑戦した清野菜名を褒めたいな〜。

昭和〜平成〜令和と時代はどんどん変わり、古い男には生きづらい世の中かもしれないけど、やさぐれて始まった阿部寛が、最後は本当にカッコいい!

ただのコメディだと思って見にきたら、泣いて笑って感動すること間違いなし! 『異動辞令は音楽隊!』、公開は8月26日です。オススメ!
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