脳内金魚

異動辞令は音楽隊!の脳内金魚のネタバレレビュー・内容・結末

異動辞令は音楽隊!(2022年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

申し訳ないが、わたしは生理的に受け付けられなかった。優しいことは書いていない。




まぁ数ある映画で駄作は数あれど、こうも胸くそ悪くなる映画をよくもまぁ作ったなと。これが、10年20年前だったら良かったかもね。


阿部寛演じる主人公が異動辞令を受けとるまでの展開を受け入れられるなら、ほぼこの映画は問題なく見られる。

私はここまでで無理だった。きっとこれが休みの日とかだったら違ったのかもしれないが、仕事帰りに見るとしんどい。とにかくしんどい。これでもかと言うくらい、主人公が自己中で自分の倫理観で動く、正にコンプラ無視野郎なわけ。後輩同僚への恫喝はじめ、違法捜査etcetc。恐らく、典型的な亭主関白モラハラ案件と見られ、妻とは数年前に離婚。認知症の母の面倒を娘が主に見ている。(本人は捜査に掛かりきりで家庭を省みない)

で、そんな御仁なので、捜査会議でも輪を乱す乱す。それが的確な指摘ならいざ知らず、刑事としての自分の手法に確固たる自信と誇りがあるだけ。取り調べの可視化が叫ばれる昨今、個人的な因縁のみで(自分的)被疑者に令状なしに家に乗り込むは、暴行を加える上に恫喝するときたもんだ。おまけに諌める後輩も恫喝。家に帰れば認知症の母親にどなるどなる。家中には「離婚しました」「父はもう死んでいます」などの張り紙。もうこの段階で私は『帰っていいですか…』状態。介護って綺麗事ばかりではないけど、あまりに情がなさすぎるよ。おまけに、その母の面倒は日中娘(高校生か)がみてる。ヤングケアラーかよ。そして、娘の話は一切聞いていない。


そんな主人公が、パワハラで告発されたとのことで、音楽隊に異動辞令が出る。はしょるけど、結果的に主人公が怪しいと踏んでいた人物が主人公が冒頭で追っていた事件の関係者と判明。それも、コンビを解消した後輩が、主人公の行動を真似するがごとく、被疑者宅に乗り込んで判明。

刑事に戻りたい主人公と、音楽隊と本職兼務の音楽隊隊員たちは反りが合わないけれど、心を入れ換えた主人公の働きかけでメキメキ上達し、ひいては事件の犯人確保に一役買う。


きっと、パワハラ告発はこのコンビ組んでた後輩からだろうなと思っていたけど、案の定そう。おまけに、その後輩がなぜか主人公に「告発をしたのは自分です。すみまけん」と涙ながらに謝る。で、それを許す主人公。おいおい、なんでお前が『許す側』なんだよ。娘はバンド活動をしてて(主人公は知らなかった)、彼が音楽隊に異動したこと、ドラムの練習をしていたら娘たちと遭遇して何となく和解。結局、全てにおいて主人公から歩み寄った点ってないんだよな。全ては回りの方が(何故か)主人公に都合よく「心を入れ換える」んだよね。

きっと、「自分達はこうしてきた」って考えからアップデート出来ていない人には心地いい映画なんだと思うが、わたしは無理だった。
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