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異動辞令は音楽隊!のrytのレビュー・感想・評価

異動辞令は音楽隊!(2022年製作の映画)
4.3
とても良かった。
治安の悪い阿部寛はもはや定番になりつつあるけれど、ニュースを観て走り出した時の後ろ姿、駆けつけた会議室から去る後ろ姿、ひたむきに練習に勤しむ姿からは哀愁が凄く感じられて、ただの脳筋ではない、加えて母や娘に対する視線、声に優しい温もりが感じられて、前半は特に共感を寄せられる人間味があった。それがとてもグッときて良かった。
半分過ぎたぐらいから音楽に向き合い始めたことでエンパワメント的な展開になって、一気にテンポが上がって高揚感も生まれた。
成瀬が素直に言い方が悪かったことを謝ることができるようになったことは凄く尊いことであるけれど、北村はじめ他の皆がそれを受け入れられることもまた大きなことだな。
非情に感じていた後輩からすると急にしおらしくなった戸惑いもあっただろうけれど(一人で勝手に気持ちよくなることに不満があるパターンもあるから)、そこを突かれることなく進んだのは個人的にホッとした。(だからこそ最後の懺悔はある程度予想できたのかも)
最後には知事の掌返しによる本部長の見事な変わり身と、序盤のサイレンの再現でカタルシスを得られたし、フルコーラスで単純に演奏を見せてくれたから観終わった後の気持ちが晴れやか。
春子や広岡、沢田らとの対話は押し付けがましくなく、メッセージがとても心地よかった。(それぞれのパートで頑張る、音楽は必要だ・どこでもできる)
全編を通じて暑さを感じさせる画の中で、磯村勇斗はちょうど良い清涼感をもたらしてくれていたように思う。
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