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戦場のピアニストのapapattiのネタバレレビュー・内容・結末

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

バタフライエフェクトが好きという友人の側面を知って、オススメされた勢いでそのまま見た。

重い…
重いが、この作品をちゃんと見ることができるようになったというのは、ひとつ自分がちゃんと成長したなぁ,と感じる要素でもあった。

何せ、劇中で何が起きてるのか、という説明がほとんどなく、ただただ身を委ねるしかない主人公。

作中の描写も、窓越しに銃撃戦や捜索などを見るという、一人称視点が多かったな、というのは追体験を構造として持たせたためだったのだな、と気づいたのは終了して、これ以上悪いことは起きないのだ、と安堵したからだった。

なるほどそりゃ当事者からしてみれば、得られる情報は制限されてるし、そもそも軟禁されてるようなもんである。

なぜ戦争がおきたのか?誰が悪いのか?今どうなってるのか?この辺はゲットーで隔離されてしまった時点で、当事者はリーチし得ない。だからこそ、音を立てずに、食料のない中ただただ生きる、という描写が執拗に描かれてるんだろうなと。

死体がめちゃくちゃそこら中にあり、ぽんぽん人が殺されていく環境で、本当にこれが現実にあったことなのか?とすら思う。事実は小説よりも奇なことだ。

国家の統制とラベリングは、ここまで人を人と思わないようにする力を持っている、というのが想像できないほど、今の日本は平和なのであろう。

コロナのワクチンを接種したら5G電波が受信できるようになるとかなんとか、陰謀がどうとか言ってる人が堂々とsnsで高説を垂れ、責を政府に問うと言う人がいることの、いかに平和で自由が確保された世であることか…。
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