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戦場のピアニストのyumaのレビュー・感想・評価

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
4.0
日本でも昔何度も地上波でやってた気がするけど、まだ若かったし、見る気がおきず、今更ながら、この超有名タイトルを鑑賞。
シンドラーのリストは見てるのに何故見てなかったのやら。

多少脚色しながらも、実話を元に制作された映画とのことで、きっついシーンの連続。
心臓がもたん、人間てこうも残虐になれるんだなって、絶望したわ。

まるでネズミでも殺すように射殺していくので死体がゴロゴロ。口を開けば射殺。動けば射殺。立てと言って立てなければ窓から放り投げる。もう滅茶苦茶。

シュピルマンはよく生き残ったと思う。
助けてくれたひとたちが素晴らしい。

シュピルマンの息子さんもインタビューで言ってるけど、この映画の英雄はシュピルマンではなく、助けてくれた人たちが英雄なんだよね。匿って見つかれば殺されるし、見て見ぬフリすれば命が脅かされることはない。
というか、シュピルマンの息子さんは日本人女性と結婚して福岡に住んでるとのことで、それはそれでびっくり。

「ハンナアーレント」であった『悪の凡庸さ』じゃないけど、心の停止からどれだけの悲劇を産むか、すごく考えさせられた。

日本人もそういうところがあると思うんだよね。なんでそれをしなきゃいけないのか考えずに、そうしなきゃいけないのでそうしてるだけです、それが仕事です、みたいな。食べていくのにみんな必死だというのもあるけど、そうやって心を失っていく。
そういうことの積み重ねが、巨大な悪事に結びつくことがあると思う。
森友改ざんの件でも、赤木さんは他の人と違い、心の停止、思考の停止に抗っていたから、余計苦しんだと思う。

シュピルマンを助けたドイツの国防軍将校のヴィルム・ホーゼンフェルト大尉は元々熱狂的なヒトラー信者だったみたい。でも戦場の惨劇を目の当たりにし、ナチスの政策は間違いであると歯向かい、結局ユダヤ人を60人以上も助けてる。

戦争は何も生まないというのは、確かに綺麗事で、科学技術の進歩は戦争と共にあったことは確か。

だけど、命と化学の発展を天秤にかければ命のほうが重いに決まってる。戦場で拳銃突きつけられれば、嫌でも命乞いする。そうまででもしないとリアリティを感じない人もいるんだろうな。

ドイツに行ったとき、ダッハウ強制収容所に立ち寄ったけど、やっぱり何とも言えず涙が出そうになったな。
彼らの映像も服も靴も死ぬほど残ってて。
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