このレビューはネタバレを含みます
150分。長いだけある。
冒頭からほぼほぼつらい。事実だからわかっていたはずだが、戦争の悲惨さ、ユダヤ人への非人道的な仕打ちで、もう映画を見ていたくなくなるほどだった。
街が壊されて焼かれて、荒廃した瓦礫だけ。そこを一人歩くやつれた姿のシュピルマン。信じられないような光景だが、最近も見た。ニュースや記事で、今全く同じような光景があるのにまた愕然とする。
シュピルマンが主役だからとも思うが、助けてくれる人が何人もいて、騙されたり、逃げたり、隠れたりしながらも、生きる。元々人気のあるピアニストだったからだろう。それに身体も心も強かった。
ピアノがあっても、弾けない。ピアノがなくても心の中で弾き、指を動かすシーンが印象的だった。
そして、世界は一瞬にしてひっくり返る。
ドイツ兵の将校の最後の姿もつらかったな。
こんなにつらくて酷いお話の数時間を体験したからこそ、ラストのピアノ演奏はずっと聞いていたいし、あの長い演奏シーンを待っていた気持ちで堪能できる。
原作本に、シュピルマンの息子さんの文章が加筆されていて、戦争が今に結びついていると実感する。本当にあったことなんだ。
辛い時を生き延び、88歳まで生きたピアニスト。後世に伝えてくれたことに敬意を。