カッパロー

戦場のピアニストのカッパローのレビュー・感想・評価

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
4.5
生きる。辛く厳しい世界を、全てを奪われズタボロになろうとも、ただひたすらに、生きていく。

ナチ占領下のポーランド。元ピアニストであるユダヤ人の主人公は、ときにゲットー、ときにパルチザンの隠れ家、ときに廃屋の屋根裏、と場所を変えながら、必死に命を保っていく。いつかまた鍵盤を叩く、そのときを夢見て....

一言で言うなら「重い」映画。その重さはこの映画のノンフィクション性と、写実的かつ印象的な映像の数々と、そして絶望の中にあって微かな息を繋いでいく主人公を演じたエイドリアン・ブロディの卓越した演技によるものだろう。

決して「面白かった」とは言えない、緊迫と絶望の中に過ごした150分。彼が最後に奏でた、生への喜びと数多の犠牲者への追悼を載せたピアノの音は、今なお私の心を離してはくれない。
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