ここまで観ていて気が狂いそうになり、吐き気まで催した映画は初めて。過激にグロテスクなわけではないし、もちろんホラーでもないのに。
ナチスによって占拠されたポーランドで迫害を受けるユダヤ人。ユダヤ人である主人公の立場になって考えたとき、安心できるシーンなんてこの映画には(本当に最後以外)1つもない。
映画を評価するのに、リアリティがあるかないかってのは大事な部分だけどこの映画に関してはそんなの関係なかった。これだけ残虐にユダヤ人は迫害されたという事実。そして今の世界にもこうやって安心して生きることすらできない環境にいる人々がいるのだろうという事実。
その前提で観ると、この映画はリアルな映画、としてではなくただ単純に現実として自分に迫ってくる。
それはどんなホラー映画を観ることより恐ろしいことだと思うし映画の表現性に限界はないんだとも思った。
僕は音楽が好きで、たまに、「ああ、人間ってこんな美しいものを創ることができるんだ…」と思うことがあるけれど逆もまた然り…なんですね。戦争、差別、憎しみ…人間はここまで醜いものも創ることができる。
繰り返しになってしまうけど、本当に恐ろしい映画だった。