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戦場のピアニストのkoyoのレビュー・感想・評価

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
4.2
第二次世界大戦のきっかけとも言えるドイツ・ソ連によるポーランド侵攻。

そのポーランドの首都ワルシャワが物語の舞台です。ざっくりとですが、独ソ侵攻からユダヤに対する弾圧、ワルシャワ蜂起、終戦までの6年間を描いています。
題名を見た時に、戦場の中でもピアノを弾く事を忘れらず、ピアノを追い求めるピアニストとかピアノを弾くシーンがよく出てくるのかなと思ってました。

しかし、物語のメインはナチスドイツによるユダヤ人に対する人種差別・弾圧をかいくぐり、ただひたすらに生を求めて必死に生き抜いて行く様をシュピルマンの目線から映し出した映画でした。

もちろん、ピアノを弾くシーンも要所要所で出て来ます。どんどん戦況が悪化していくなかで弾くシュピルマンのピアノはとても激しく美しかったです。

そしてこの戦火の中、同じ戦争の被害者でありながら、人を騙して私服を肥やそうとするシャワスの様な人間がいたり、シュピルマンを助けたドイツ軍将校。

本来であればお互いが逆の行動をしていそうな所だが、この2人はそれをしなかった。これが、シャワスがドイツ人将校であり、ドイツ人将校が、シャワスの立場であればどうなっていたか?
戦争という状況が人を狂わすというよりも、その人間の持つ狂気性が戦争によって増幅されるかどうかなのかもしれない。

このドイツ人将校は、ヴィルム・ホーゼンフェルトという人で、シュピルマンだけでなく数多くのポーランド人を助けた人です。なので、ソ連の捕虜となった時も、ポーランドの人達が刑の執行猶予と不起訴をソ連に訴え出たみたいです。
ソ連は、それを拒絶し、拷問と過酷な労働を課して、最後は精神を異常来たし戦犯捕虜収容所で亡くなったそうです。

ポーランド政府は、後にホーゼンフェルトに勲章を授与しています。

あと、個人的にビックリしたのがシュピルマンがリストの又弟子だったということです。本当にピアニストとして才能ある方だったんですね。
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