ナツミオ

戦場のピアニストのナツミオのレビュー・感想・評価

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
4.0
DVD鑑賞
過去鑑賞も再度鑑賞
実話の映画化
アカデミー賞主演男優賞受賞。

第二次世界大戦下のポーランド・ワルシャワを舞台に著名なピアニスト・シュピルマンと家族、友人が経験した壮絶なナチスのユダヤ人虐殺と家族との強制的な別離、ワルシャワ市内での隠遁生活と最後に起こった事件を描く人間ドラマ。

先日鑑賞の「シンドラーのリスト」は、ポーランド・クラクフ市内でのゲットーと強制収容所、アウシュビッツ強制収容所を舞台にドイツ人経営者シンドラーの視点から描かれているが、こちらはユダヤ系ポーランド人の視点でのホロコーストが描かれている。

個人的には、シンドラーのリストのインパクトが大きく、評価も高いが、こちらはワルシャワ市内のゲットー蜂起、ワルシャワ蜂起が背景に描かれる。

主人公シュピルマンは、穏やかな性格の人物でピアノ以外は、世の中の移り変わりに無頓着で、弟に比べて生き残ろうとする意欲も弱く感じた。
ナチスドイツ侵攻時の楽観的な見方や、1人になって匿われてからの、部屋の食料が切れて探すうちに棚の食器を割り、隣人が騒ぎ出し、慌てて逃げ出す場面など。
しかし、そんな彼が家族で唯一生き残ったことは、奇跡だと感じる。

彼の隠れ家は危険が迫り何回も移ることになるが、隠れ家から部分的に目撃する、武装蜂起は失敗に終わり住む家もナチスの砲撃で命辛々脱出する場面は迫力があるシーン。

本作のロマン・ポランスキー監督は、スピルバーグからシンドラーの監督要請を断ったそうだが
理由は、子供時代にクラクフに住み、シンドラーで描かれているような経験で両親と別れ、母親を強制収容所で無くしていることから、強烈な記憶体験からできなかったそうだ。
しかし年月が経ち本作と出逢い、当時の経験を活かして撮影したというのは、興味深い。

ホロコーストを扱った作品として、「シンドラーのリスト」と併せて一度は観て欲しい作品だと思います。


追記
シュピルマンがであったドイツ国防軍のヴィルヘルム・ホーゼンフェルト大尉。

どなたかのレビューで触れられていたのでWikipediaの経歴を見て驚きました!

ホーゼンフェルト大尉は、ワルシャワ市内のスポーツ施設責任者として赴任。
第一次世界大戦に従軍し、ポーランド侵攻時は、予備役で従軍。
元々教師であった彼は、ナチスSS(親衛隊)のワルシャワでの残虐行為を見る中で、ポーランド人司祭とその家族を施設の従業員として匿ったり、シュピルマン以前にも多くの人を助けた事実があった。
シュピルマンや助けられた人々の釈放の請願もソ連に無視されて、重戦犯捕虜収容所で亡くなった。
近年、ポーランドとイスラエル政府より功績を称えられている。
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