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007/サンダーボール作戦のAbeCinemaTVのレビュー・感想・評価

007/サンダーボール作戦(1965年製作の映画)
4.6
こちらでの投稿は初になりますが、私を映画の道に誘ったのは007です。中学校1年生の冬に007を見て以来、もう13年ほど007にぞっこんでございます。逆に最近は007を初めて見たときの感動を改めて呼び起こすために、あえて007禁をしていましたが、もう抑えきれなくなり、久々にサンダーボール作戦を見ちゃいました。もう見るの何度目だろう。007の全てを愛しています。だから点数は気にしないでください。

007はアクション映画ではないんです。どんな極限状態でも紳士的振る舞いを崩さず、余裕を持ち、洗練さを最優先し、それがことごとくどハマりする究極の男の日常を味わう映画なんです。核兵器を持ったテロリストに世界中が脅されていようと一糸乱れずJames Bondを崩さない。その存在はもはやファンタジーです。何が起きようと彼にとっては日常で、我々にとっては非日常で、そこには確固たる断絶があり、ショーケースの中にあるアートのような存在ですらあります。

今作は大幅な海外ロケや激しい水中シークエンスがあるにもかかわらず、展開が遅いという批判もちらほら聞くような気がします。改めて見返して見ると驚くほどアクションしてない。最初と最後だけと言ってもいいかな。カーニバルの中を逃げ惑うシーンとかはあるけど。謎も多い。オープニングシークエンスどうやって追いついたの。あの療養所は殺人マシンが多い。フィオナはボンドを守るつもりではなかったにせよ、タイミングが不自然すぎ。あとボンド乗せたフィオナはなんであんな飛ばしてたの?なんでフィリックス殴ったの?で、なんで007って言わせるの止めたのにそのあと言っちゃったの?フィオナと踊るときなんでいつ撃たれるかわかったの?考えるとキリがありません。ミスも多いです実は。ドミノがなんか刺されたのと逆の足をボンドは手当てします。クライマックス、敵の水中メガネを奪ったボンド。でも次のショットでは元々の自分の水中メガネに戻ってしまっています。

でも、そんなことは関係ありません。それが彼の日常なんです。ボンドなんです。彼の日常を我々は見せていただいているだけなんです。

ロシアより愛を込めて、ゴールドフィンガーからのサンダーボール作戦。コネリーも一番脂がのっているという言い方がふさわしい状態で、それだけでもうイってしまうんですね。無駄に歩いたり、喋ったりしているシーンが多いんです。それがいいんです。普通の映画なら絶対カットですけど、このときのコネリーはそれだけで十分。女性とカジノでぶつかりそうになって、道を譲るボンド。なんですかこのシーンは。そういうところを味わうんです。核兵器で世界が脅されている中、一人真相に近い男なのに!(他のエージェント何やってるんだ!!)敵の女と寝といて、「あれはお国のためだ!気持ちよくなかっただろ!」って、今のボンドは絶対言わないでしょうね。コネリーだからこその圧倒的説得力。会話も一言一言味わってください。カジノのタキシードといい、カードの捌き方といい、もうsophisticated!!!!!

クライマックスも圧巻ですね。水中の戦闘シーンは「これマジでやってんの!?どうやってるの?」の連続。どう見ても合成には見えないのですが、あのサメとか銛とかどうやってるの??未だに謎です。あれを完成させるのは至難の技でしょう。

ちなみに本作最大の危機はエンディングだと思ってます。あの救出方法が一番危険では??と見るたびに爆笑してます。ツッコミながら見るのも大事です。あとあのボンベ欲しい。
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