ゴトウ

JOLT ジョルトのゴトウのレビュー・感想・評価

JOLT ジョルト(2021年製作の映画)
3.5
意外と面白かった。バックボーンの割に悲壮感を感じさせない主人公、めちゃくちゃな強さに一応説明がついてはいるものの理不尽にタフすぎる。それが電流で抑制しないといけないレベルにまで誇張されているけれど、ムカついてこいつぶっ飛ばしたいな〜とか思ってしまうのはよくあるので、主人公に気持ちを乗せやすい。ホルモンと軍事訓練の経験で説明されてはいるけれど、イライラパワーの礼賛は「アンガーマネジメント」とか「マインドフルネス」とか言われるより好感が持てる。

一方で、怒りだけを原動力にしているといいようにつけ込まれるぞ、というニュアンスもチラ見えする。視野が狭くなると小狡いやつに利用されて、都合の良い方に誘導されてしまうこともあるかもしれない。種明かし的なパート、やや荒唐無稽な感じもあるが、そもそも電気刺激で暴力衝動を抑えているという設定が荒唐無稽か。気絶→拘束されて復活が二回繰り返されるのとか、なんかのギャグかオマージュなのか?と思ってたけど、なぜ殺されないのか?という伏線になってたのかな。警察は頼りにならないし、孤立無縁の主人公なのに全く心配にならないのが面白かった。

「どうしてキモいジジイってこうなの?」みたいなセリフがチョロチョロあるが、そもそもが極悪人ばかりなので、あんまり女性の抑圧を代弁しているようには思えなかった。怒れる復讐鬼という意味では『プロミシングヤングウーマン』と同じかもしれないけれど、これはちょっとおちゃらけすぎ。Amazonオリジナル作品で家でほどほどに集中しながら見るのにちょうど良い感じ。続き作る気満々っぽい引きだったけど、別にあってもなくてもだな…音沙汰がないということは反響もそこまでだったのかな。
ゴトウ

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