ホラーマニアならではの知識を利用して、シリアルキラーをひとりずつ倒してゆく……『ホラーマニア vs 5人のシリアルキラー』はそんな愉快な映画かと思っていたのだけど。あてが外れましたね。
ホラーとしては殺り方は普通だしゴアも生ぬるい。
コメディとしてはテンポが悪い。セリフが多いのでさらに拍車がかかる。なにより主人公がドンズべりで、魅力がまったくないばかりかプライドだけが高いやつで、すべてが鼻につく。そんな感じだから、本来なら笑える失敗シーンもイライラするだけ。
監督はもっとしっかりしてほしい。
よかったところもいくつがある。
実在のシリアルキラー(ゲイシー、ダーマー)やホラー映画の殺人鬼(ジェイソン、ベイトマン、ウォン・チーハン)へのオマージュは、お約束とはいえワクワクしてしまう。結局がっかりするのだけど。
サスペリアっぽい劇伴や、ダメ保安官がホラー愛を語るところ、フレディ・マーキュリーそっくりの保安官兄弟なども悪くはない。
なかでもIQ180のシリアルキラー・ボブ役のアリ・ミレンは熱演だった。変なダンスも見せてくれたし。最近おっさんの変なダンスが気になるのです。
まあたまにはがっかりするのも悪くない。おすすめはしません。