HicK

サンダーバード55/GOGOのHicKのレビュー・感想・評価

サンダーバード55/GOGO(2020年製作の映画)
3.2
《スーパーマリオネーション再び》

【オリジナル編集】
日本でアナウンスされるまで新作が作られてたの知らなかった。サンダーバード50周年として、未映像化の音源を元に新撮された3本のエピソード。上映前後にメイキング映像の追加、中盤でのマシーン紹介の挿入など1本の映画として編集された樋口真嗣氏監修の日本版。

【第一話、好き】
第一話の「サンダーバード登場」は、映像化されていなかったのが不思議なくらいに"第一話"にふさわしく、この世界観の紹介にもってこいの内容だった。初めて鑑賞する方への導入としてもGOOD。各マシーンの出動シークエンスはメインテーマ曲も相まってかなり興奮。

子供の頃は気づかなかったけど、ペネロープってこんなに悪魔的存在だったんだ。笑

【当時の再現演出】
全ての演出が意図的に"古い"。画質は粗めで発色も抑えられている。音楽はたぶんそのままの使用?。新作というよりはリマスターの雰囲気。新作と言われても分からないほど全てを完全再現。

この辺は賛否分かれるのかも。オリジナルリスペクトはかなり強く伝わってくるが、「今だからこそ生み出せる新たな魅力」は無かった。

【樋口真嗣】
2話と3話の間に挿入されるマシーンの紹介シーンには、マシーンごとに名前や紹介文章が表示されているのだが、これがいかにも「シンシリーズ」っぽい。似たフォントで、文章の長さの割にはすぐ消えていく。読めない、マシーンの映像も見れない。"縦書きのシンゴジラ"。

【総括】
子供の時に再放送を見て好きになったシリーズだが、その後は本編を見返す事が無かったので新鮮な気持ちで見れた。当時を再現したシークエンスの数々にワクワク。メイキング映像が見れたことも嬉しい。

「もともと一本の映画作品では無い」「音源があったからこその映像化」という点を踏まえると全ての演出に納得もできるが、欲を言えばオリジナル脚本で最新作としてバランスの良い作品を見たかった。50年前の作品の新作でありながら、新たな魅力が無かったことがちょっと残念。

製作陣の熱量はメイキングを通してかなり伝わってくる。
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