好色坊主（小松方正）との逢瀬を続けている富裕層の有閑夫人（宮下順子）が、寺の小間使いの少年（村国守平）と接触してしまう。妖艶なマダムと実直な少年の交流劇を綴っている、日活ロマンポルノ。

本作の主人公は、若い少年たちを相手に火遊びしている夫人グループの一員。「無意識的に相手を堕落させてしまう魔性の女」と「堕落させられる少年」の駆け引きが主軸となっている。

寺の住職役を演じている小松方正が、日活ロマンポルノの出演作の中でもベスト級の演技を見せている。したり顔全開で女体にかぶりついてくる様は、さながら怪獣映画のよう。小間使いの少年の心を見透かしているような、立ち居振る舞いもまた素晴らしい。

女優陣では、宮下順子が常に和服姿で芝居するため、たおやかな色気を堪能することができる。とりわけ、真っ白なうなじの稜線と映像から漂ってくるフェロモンが絶品。

こつこつフィルマークスに（誰も見ない）林功のロマンポルノを大量にリクエストしていたのは私です。ありがとうフィルマークス。若者は真っすぐで老人は狡知。欲望と失望、林功にしては粘り強く物語を撮っている。小松方正は小松方正でしかないが、攻めも受けもどちらの芝居も一流の宮下順子。顔と肉体、喘ぎ、8ミリフィルム、夏虫の音、珍しく「映画」の雰囲気がある。林功のなかでは最良の一本。

やっとfilmarksに登録された！佳き映画だった記憶で、久しぶりの再見。
役者で魅せる映画。宮下順子は間違いなさすぎるし、浜口竜哉のパリ外遊浮気夫感もすごいし、何より小松方正の生臭坊主がハマりすぎている。お小姓の林国守平は見た目なんてことないあんちゃんなのにだんだん白皙の童貞美青年に見えてきちゃうマジック。お小姓の何気ない一言で心が通じ合っちゃう瞬間、遊び慣れた有閑マダム宮下順子が本気の恋に落ちてしまう瞬間がしっかり鮮烈に描かれていて、そこのシーンが心にじわーっと来てもうご飯何杯でもいける。そこから続く情交はもう青春そのもの。江ノ電沿いを自転車二人乗りとかまぶしすぎて。恋は熟女を乙女に変え、破れた恋は女を強くたくましくする。素晴らしい映画だわ。鎌倉の風景も海も素晴らしい。大好きな作品。ほんとに林功？って思うクオリティの高さ。