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The Son/息子のthecityのネタバレレビュー・内容・結末

The Son/息子(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

フローリアン・ぜレール監督、一生ついて行きます。まだ気が重いけど、記憶が新鮮なうちにレビューを書いてみる。もし自分の過去の経験がなければ違う見方になったはずで、いくらか自分の思い込みも含まれると思う。

父を許せない怒りと共に深い愛情があって心に身体が引き裂かれそう。
再婚相手のキャスティングが絶妙。メイク、ファッション、喋る内容も何もかもがしっくりくる。

息子が「合理的な説明じゃないと理解してくれないから、父が望む理由を言った」のも、根本から分かり合えない二人が家族になってしまって、理解できないのに分かったふりをして、それでもごまかせなかった結果。S型の父とN型の息子かなと思う。
最後のバスルームのシーンに向かうまでは出口のない迷路に迷い込んだようで、手が震えて自分の鼓動が聞こえて、映画を自分ごとのように感じていた。
死ぬことを決めた後の安らぎも、両親に最後に言った感謝の言葉も、自分でもこうするだろうなと思う。
主人公のような純粋な魂を持つ人たち、どうか傷つかないでほしい。気にかける言葉すらプレッシャーになってしまいそうだけど。
最後、別の未来を見せたのは優しさだと思った。

一方の両親も人間であり、選択の連続である。これからのプランも話し合わないまま退院させたのはどうかと思うが…。
正論を息子に投げ続けた父が立ち行かなくなった時、再婚相手に正論を説かれるのであった。その時の表情が安らぎとも感じられるようだった。

映画の最後にうつ病に関する情報が。英語のみで日本語字幕はなし。英語ができないと最低限必要な情報にもアクセスできない。
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