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The Son/息子のmakoのネタバレレビュー・内容・結末

The Son/息子(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

《完璧な親はいない。
そして、完璧な子供も。》
◎80点

監督・脚本・原作・制作: フロリアン・ゼレール。『ファーザー』で、斬新な表現スタイルが絶賛され、アカデミー賞脚色賞を受賞。
その最新作が、自身の戯曲を原作にした家族三部作の第二部である本作。
完成した脚本に惚れ込んだヒュー・ジャックマンが、自ら名乗り出て主演と製作総指揮を務めた。
『ファーザー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したアンソニー・ホプキンスも出演している。

互いを理解していると信じ、ごく当たり前の日常を送っていた家族に、突然起こる異変。

結構重めで、鬱や希死念慮が含まれるため観る時は体調が良い時に観てください⚠️


【登場人物】
✤ピーター(ヒュー・ジャックマン)…高名な政治家にも頼りにされる優秀な弁護士。再婚した妻のベスと生まれたばかりの子供がいる。
✤ケイト(ローラ・ダーン)…ピーターの前妻。ニコラスと同居しているが息子とどう接していいか分からなくなっている。
✤ニコラス(ゼン・マグラス)…17歳。ピーターとケイトとの子。不登校になっている。
✤ベス(ヴァネッサ・カービー)…ピーターの後妻。ニコラスの同居に当初は戸惑っていたが同意。

ニコラス(子)、ピーター(親)、どちらの立場も経験があるから、2人に共感する所が多くて観ていて少ししんどかった。

ピーター(親)がニコラスに接する態度や言葉は第三者の立場で見るとよろしくないけど、でも当事者だとやりがちだなと思いました。
次男が学校に行けなくなった時に(うちはメンタルの不調ではないけど)、なぜ学校に行けないのか、本当に病気なのかなど、私も少し疑ったことがあったし、夫に至っては理解できないし、的はずれな事を話したりしてました。
私はメンタルの不調を長年患っていたので夫より気持ちは分かる方だったけど、それでもやはり傷つける言葉を言っていたし、それに関しては何度も謝りました。

ニコラス(子)の立場として、私は母の言葉でイライラさせられたり傷ついたりしました。
母が理解ないとは思いませんが、的はずれな話や励ましの言葉など、母としては立ち直ってほしい、良かれと思って言っているのは分かるけど、言われた方は辛かったです。
この当時、友人から言われた中で1番嬉しかったのは、「もう十分頑張ってるから、頑張らなくていいよ」でした。
私が、頑張らなきゃいけないよね、と言った時に友人がそう言ってくれてスッと心が軽くなりました。
そういう人がニコラスにもいたら良かったのだけど…。

メンタル不調は、愛だけで治りません。そして薬だけでも。
私は認知行動療法が一番効きました。

終盤の展開は衝撃的で、これまた身内を同じように自死で亡くしているのでとても悲しく呆然としてしまいました。
その展開は伏線があったので、あの場所に行った時に、予想がついてしまって。
だからこそ、予想が外れればいいのにと思ったけど😭

希死念慮、私も経験済みで辛い気持ちは分かりますが、どうか生き抜いてください。
人生、どんより曇っていたり、雨の時期もありますが、私は晴れる日が来ると思っています。
私にも来たので🌞

冒頭に書いた、完璧な親はいない。そして、完璧な子供も。
その通りだと思いました。




字幕翻訳: 岩辺いずみ
観客 7人
劇場鑑賞 #35
2023 #37
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