ぴろぴろ

The Son/息子のぴろぴろのレビュー・感想・評価

The Son/息子(2022年製作の映画)
4.6

尾を引く映画だった。   もっと『らしさ』を手放せたら楽に生きられるのかなぁと思ったり。  エブエブが母と娘の物語なら、こちらは父と息子の物語。
ティーンエイジャーは過ぎたものの、私も2人の息子を持つ親として、観ていてとても辛い映画だった。
誰かの父親はまた、誰かの息子なのだ。
お父さんが観ると、自身と重ねたり思い出すことがあるのだろうか。
『もしあの時、…たら …れば』
人生は選択の連続で、時に自分以外の誰かの人生にも影響する様な重大な選択を決断しなければならない時もある。
その選択は正解だったのか、後々後悔する事になるのか。  答えは時が経ってみないと分からない。   でもその時は、これがベストだと思って選択したのに。
懐かしい海の日のシーン。  あの時のキラキラした思い出が、色褪せる事なくいつまでたっても美しい。   親にとってはずっと子供だけど、子供はいつまでも子供のままではいられない。    
ヒュー・ジャックマン扮する弁護士のピーターは、離婚歴はあっても社会的地位もあり、若くて美しい再婚相手との間に子供も生まれて順風満帆に恵まれた人生を謳歌している様に見える。   そんな彼も少年時代から父親との間に軋轢があって、大人になった今でもそれは続いている。
「自分はそうはなるまい」と思って来たはずなのに、いつの間にか自分も息子に克つことを強いている。  
この結末には大きな悲しみと衝撃とやり切れなさが残るけど、でもじゃあ、どうすれば良かったの?
家族の問題は自己完結しがちだけど、専門家に委ねる勇気も必要なんだなと改めて思った。
俳優陣の演技が素晴らくて最後まで引き込まれた。
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