ai

The Son/息子のaiのレビュー・感想・評価

The Son/息子(2022年製作の映画)
-
2023年、257本目。

今年一、胸を抉られた。
愛だけではどうにもならない事があって、どんなに辛くても傷ついても人生は続いていく。
"人生に耐えられない"と言う息子の悲痛な叫びを見誤った親の選択は取り返しがつかず、ひたすらに苦しかった。
父ピーターが有害な男性性を露わにするシーンは自分の過去を思い出さずにはいられなかった。
息子ニコラスの気持ちはわかる、でも大人になった今はピーターの気持ちも理解できるとこにまた胸が締めつけられる。
予想通りの結末なのに、涙を堪えられなかった。
残された"息子"の存在がひたすらに残酷だ…。

"父"という存在にここまで思いを巡らせたのは初めてかもしれない。
父であり息子でもある男。逃れられないステレオタイプの男性像の呪縛。
こうはなるまいと思っていた親と自分が重なる瞬間はとても現実的で、誰しも身に覚えがあるのではないだろうか。

まるで先日観た「クレイマー、クレイマー」のパラレルワールドを見ているようだった。
クレイマー家の息子だって、一歩ずれるだけでニコラスになり得るのだろう。

「ファーザー」に引き続き、胸に刻まれる作品となった。
ai

ai