CharlieZG

フィル・スペクターのCharlieZGのレビュー・感想・評価

フィル・スペクター(2013年製作の映画)
3.5
殺人容疑のフィル・スペクターと弁護するリンダの無罪立証を追うドラマ。

最初は乗り気でない弁護士リンダが真実追求へのめり込む姿に同調して引き込まれる。
物証が正しいならばリンダの検証通りフィルは無罪なのでは?と思えた。

裁判の行方は事実が示す通り結末は分かっているので映画は裁判を再現する目的ではなく、フィルの無罪を訴えているように感じた。

破天荒な喋りと髪型で成り切るアル・パチーノの演技が実に上手い、ヘレン・ミレンの押しの強さも適役。
台詞中心で動きが少ないが、腰を据えて観ると音楽エピソードも織り交ぜながら興味深かく楽しめた。
面白かった。


余談

フィル・スペクターというと60年代の米ポピュラー音楽界に “ウォール・オブ・サウンド” と呼ばれる独特のサウンドで一時代を築いた音楽プロデューサー。
ロネッツやクリスタルズなどガールポップの印象が強く、日本でも大瀧詠一など多くの音楽家に影響を与えるなど “あの音” をもって60年代を象徴するイノヴェーターです。
ビートルズ末期とジョンやジョージの初期ソロのプロデュース以降名前を聞かなくなり、私の中では完全に過去の人になっていたので、2021年にコロナ感染で死去ニュースを見た際には失礼ながら「えっ!生きてたの?!」が率直な驚きでした。
女優ラナ・クラークソン殺害容疑で服役していたこともこの映画を観るまで知りませんでした。
劇中リンダが言うように「変人ではなく風変わりなだけ」だったのかもしれないですね。60年代の栄光があまりにも華やか過ぎて、その後の転落が痛々しく感じます。


監督 デヴィッド・マメット

キャスト
アル・パチーノ
ヘレン・ミレン
ジェフリー・タンバー
キウェテル・イジョフォー
レベッカ・ピジョン
CharlieZG

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