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フィル・スペクターのTPのレビュー・感想・評価

フィル・スペクター(2013年製作の映画)
3.4
 1960年代から1970年代に活躍し、アメリカの音楽界に多大な影響を与えた奇才プロデューサー、フィル・スペクターの、2003年に自宅で若手女優を射殺したという容疑で逮捕された以降の裁判を中心に描いたテレビ映画作品。

 本作製作当時、73歳のアル・パチーノと68歳のヘレン・ミレンが主演で、若くて見栄えのいい俳優の出演は皆無。
 また、フィル・スペクターという人物は、60,70年代はプロデューサーとして有名だったが、80年代以降はほとんど表舞台に出ず、2003年に本作で描かれている殺人容疑により突如、再度表舞台に登場し、2009年に有罪判決が出たという人物なので、凡そ劇場公開を全く意識していない題材、配役といえるだろう。

 私は、フィル・スペクターが、ビートルズの「レット・イット・ビー」をプロデュースしたことも、ジョン・レノンのマスターテープを持ち出して雲隠れしたということも知っているので、スペクターの人物像に多少なり興味があったのだが、観たいと思う人はとても限られる作品。

 尺の関係か、1回目の判決が出る前に突如として映画は終わってしまうので、間違いなく尻切れトンボの印象となってしまうこともあり、世間的にはかなりの低評価になっているのだろうと推測する。

 しかし、2000年以降のアル・パチーノの作品としては彼の最高の演技ではないかというくらい、フィル・スペクターという奇人に対する演技面での掘り下げはすさまじく、約90分という短尺なので二人の老名優の演技だけでも個人的にとても見応えはあったと感じる。まぁ、非常に限定的な趣味、映画鑑賞の嗜好ポイントを持つ人を対象とした面白さであることは否定できない。
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