みさみさか

劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [後編] 僕は君を愛してるのみさみさかのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

『運命の果実を一緒に食べよう』

桃果の身勝手な愛によって(愛はいつだってそう)乗り換えられ、残された彼らの物語はどこへ至るのか。絡みつく呪いを剥がして何者かになることと、その罰を受け入れ代償を支払うことは共存しないものだと思い込んでいた(どうにかして犠牲のない世界に乗り換えるのかと思っていた)ので終盤の展開にシビれてしまった!
こぼれ落ちるニュアンスを無視して安易に言葉に当てはめるのなら、自己犠牲によって閉じていった寂しさの残るオリジナル版のラストを、(それが何度目でも)「陽毬のお兄ちゃん」として自己を獲得しその選択を肯定できる爽やかなラストに書き換え、その上その運命を一層強固にするというつくり…!そうして"輪る"ピングドラムは、桃果と眞悧の代理戦争から紛れもなく彼らの物語になり終着(始発)駅へ還る。
完璧だ。映画として改めて今やる意味もあるし。すごすぎる。

僕たちはきっと何者かになれる。自分の人生を自分の物語にすることができる。他人に誇れる肩書きや、人生まるごとを賭けた目標だけがほんとうに僕の存在証明だろうか。生存戦略、しましょうか。
みさみさか

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