眠い人

劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [後編] 僕は君を愛してるの眠い人のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

僕の存在証明をオープニングで流されるとは思わず序盤からびっくり。しかも少年よ我に帰れも聴けるなんて…イクニはどれだけ視聴者を喜ばせたら気が済むんだ…
テレビシリーズのあの濃い後編を映画に纏めたのだからそれはそれは情報量が多いがその分満足感がすごい。
感情にフォーカスが当てられているので構成は分かりやすくなっているような気はする。
呪いがなんだかんだとうだうだ言ってる眞悧をよそに冠葉と晶馬が僕達は陽毬のお兄ちゃんなんだ!!と全て吹っ飛ばして行くの凄く爽快で良かった。

テレビシリーズの時も最終話の多蕗の言葉が印象的だったのだが、今回の劇場版であの言葉がピンドラの全てなのだな、とよりストンと胸に落ちた感覚がある。
冠葉と晶馬は再び目覚めた時には陽毬の兄としての記憶は(恐らく)ないし、陽毬も苹果ちゃんも真砂子も彼らのことを覚えていないし、多蕗とゆりの元に桃果は帰ってこないけれど、愛していると言葉をもらったから、言うことが出来たから。
彼らはきっと幸せになれる、何者かになれる 。
テレビシリーズで「愛してる」の言葉を交わせたのは多蕗とゆりだけだったので、最後海辺に皆が集まるシーンは本当に嬉しかった。全員見つけてもらえるようになったんだね…良かったね…
この先彼らがどうなるのか、そもそも冠葉と晶馬が今どういう状況にいるのかとか色々分からない所も多いが、彼らはきっと大丈夫だということは確信できる。

個人的な感覚だが、今回全面に押し出されている「きっと何者かになれる」という言葉、「きっと何者にもなれる」ではないのが優しいなと感じた。上手く言葉に出来ないのだが、主題歌から言葉を借りると凄く優しくて暖かい「条件内の肯定」だと思う。
全てが思い通りには行かないかもしれないけど、何者かになれる。愛してるの言葉があれば。
この映画自体が、今の時代を生きる私たちに向けての愛あるエールであるかのように感じた。
こんな長々と纏まらない文章を書いているが、結局はタイトルが全てなんだと思う。

「僕は君を愛してる」
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