朔

流浪の月の朔のレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
3.5
良かったけど、けど、どうしたって原作以上にはなりえないかな、というところ。
本来比較すべきものではないのだろうけれど、しかし特に映画だからこそみたいな部分も個人的には感じられず。むしろ小説だからこその良さを再確認したような感じさえあり。
リカとの結びのシーンがなかったことは、仕方ないにしてもすこしさみしかったかなと。あとはトネリコの描写がもうすこしあればなというのは、きっと自分勝手な感想なのだろう。
とはいえストーリーにメッセージ、過不足なく描き切っているところは流石だなと思うし、役者方の力はどうしようもなく感じざるを得ず、少し震えた。
主演ふたりとそれに準ずるメインキャストたちは去ることながら、子役たち。確かに、生きて、呼吸をして、いた。素晴らしかったと思う、美しいと思った。
これはきっと"理解"の話。誰かの苦しみが誰かを苦しめる。そんな世界の救いとは、理解であるはずで、なのに、どうしようもなく他人の介在が邪魔だなと感じたのは、ああ、そうだ、なんというか、社会からの圧迫感みたいなものはよりリアルに感じたかもしれない。それで、どうにもならない歯痒い苦しさみたいなものは、増して感じた。
叫び出したくなるほどの、願えない"願い"を、心に突き刺されたみたいだ。
朔