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流浪の月のyayouのネタバレレビュー・内容・結末

流浪の月(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

流浪の月、小説はアイスクリームのカバー。
更紗と文の物語。

小説と映画、映像をみても小説の世界観そのままで全く違和感がない。なのに映画の方が苦しくなる。それは更紗や文が自由で幸せに暮らした時間を描いている分量が、映画の方が圧倒的に少ないから。
更紗の作り笑顔と文の黒い目が印象的。松坂桃李さん広瀬すずさんがすばらしいのは周知。白鳥玉季さんは子役というよりは女優で、3人で更紗と文は成り立っていたように思う。

横浜さん演じる亮。
はじめから不穏な空気を醸し出し、出てくるたびに緊張感で体がこわばる。ベッドシーンは目を背けたくなる。映倫の基準はPG12もついていない。その後DVシーンもありますが…? でも後から考えると肌の露出もあまりなく、音や表情で見る人が想像しうる映像表現になっていたのかな。亮は文との対比も担う。更紗の過去、更紗と亮の関係性においても必要なシーンなのか。亮が家にいるときの部屋着、あの子供みたいな服。外では立派な大人を装うエリートサラリーマン。更紗といるときは母親に捨てられた時のまま。

亮の自傷行為と更紗の手をとり離すシーンは、酷くて惨めな弱い亮をみているこちら側への救いのように思えて嫌悪感があった。なんで?亮に救いや赦しがあるなら、亮と亮を演じた横浜さんがわかっていればいい。同情の余地はないし、この先も本質は変わるわけない。でも亮を理解し生きた唯一の人、横浜さんの言葉(パンフレットをみた)をみて、ごめんね、誤解してたね、という気持ちになった。
人は自分が見たいようにしか見ない。

多部さん演じる谷さん。小説とは少し設定が変わっていたけど、映画においての谷さんはこれでよかったと思う。とても切なくて一番共感できる人物だった。

最後に。文はロリコンではない。感想をよんでいて、小説未読で映画のみだと解らない人がいるのかと。色んな見方があっていいけれど、ここは間違えてはいけない一番大切なことだと思う。
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