Atsuhito

流浪の月のAtsuhitoのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
4.2
湖で文が更紗の手を握って「更紗は更紗だけのものだ。誰にも好きにさせちゃいけない」と言うシーンで心を思いっきり動かされてしまった。

手の握り方の違いで文と亮のさらさへの接し方の違いを対比的に描いていて、なおかつそれまでの展開ではまだ言っても謎に包まれたままだった文の更紗に対する思いがこのひと言ひと仕草に込められていて、急に理解出来たことも相まってかなりの破壊力を持って心に響いてきました。

他にも各所の怒りのシーンではガラス窓がいい仕事をしていたり、演出がとても印象に残る作品だった。時系列が巧妙にバラバラに描かれており、先に事実を淡々と見た後に文のバックグラウンドを知っていく事でその事実の見え方が変わってくる構成も新鮮に感じました。

個人的な感想として最終的に2人の関係性が続いていくというエンディングで良かった。あのまま社会や世間の力によって引き離されたままだったら悲しすぎるので。

「流浪の月」というタイトルを原作者さんがどういう意図でつけたのだろうと物語の内容や流れをぼんやり思い出しながら考えつつ帰路につきました。ほんとに観てよかったです。
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