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流浪の月のhyeのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
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原作が面白かったので鑑賞。

更紗という人物像を紐解く上で、実親と叔母家族との関係性は排除できない。彼女の人格を形成した実親とのエピソードは映画の中に入れるべきだったんじゃないかなーと感じた。

もうひとつ足りないと思ったのがパート仲間の娘(名前忘れた)と文と更紗のシーン。
暗い部分にスポットが当てられてばかりの文と更紗の間柄を、唯一あの少女が灯してくれるかと期待しただけに、警察に保護されてその後の展開は描かれていなかったのも残念だった。事実と真実は違うのに、映画の中だと真実を知るものは結局更紗と文だけだったんじゃないかと思った。肯定してくれる人の存在をもっと照らすべきだった。

多部未華子演じる役の人も、原作では、文が自分のことが好きではないとわかったとき戸惑いを隠しきれないけど最後まで文のことを理解しようとする姿勢は感じられたしその上で文との別れを決心したように思えたのに
劇中では、私の勘違いだったのね最低!という感じで一方的に感情をぶつけてサヨナラしていて「え…こんな役だったっけ…」と衝撃を受けた。

原作にない部分(文がコンプレックスを更紗に打ち明けたり)もあったり、役柄に染まりきった俳優陣の演技力の高さに圧倒されて映画自体はとても良かったが、見終えた後は、やはりこの作品は2時間では収めきれないエピソードがたくさんあることに気づかされ、改めて凪良ゆうさんの引き出しの多さに感動してしまった。
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