このレビューはネタバレを含みます
広瀬すずを可愛く、
松坂桃李を年齢不詳の無垢な姿に、
そして、風景を壮大に、
これら3点をひたすら綺麗にとらえることに力を注いでいた。
一方で、他の豪華な俳優陣を一般人にしかみえないようにみせていく。
映画内の現実世界では、ロリコン誘拐犯と、その被害でトラウマを抱えた女性と、マスコミやSNSのカメラによってみられしまう主人公たちだが、
実際は身内から性的被害を受けていた少女を助けた青年だったのだと、映画のカメラが美しく捉え直そうとしていく。
真実かどうかよりも、刺激的かどうかを求める大衆への警告にもみえる。
本当のカメラは何か。店長からの言葉からも、みんながみんな一様にみている訳ではないことを指摘される。
大きな声が目立つ世の中で、小さな声は通りにくく、偏見の目で価値づけられることに苦悩する人々によりそうような映画だ。
ただやはり李監督なので、激しい場面もあるが、今回は抑え気味にして、艶っぽい美しさを無垢な人間から抽出しようとしている。