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流浪の月のbluebeanのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
3.0
役者陣の演技も映像も素晴らしかったです。タイトルにもなっている月や、雨、風鈴、カーテンと窓、コーヒー、ケチャップなど、数々のモチーフを繰り返し出していく演出なんかもすごく良かったです。登場人物の内面に深く入っていくことができて、いろいろなことを考えさせられる良い映画でした。

でも、個人的にはいまいち最後まで乗り切れなかったのが本音です。
トラウマを持つ主人公たちがなかなか周囲に理解されないのと同じように、見ている自分がその主人公たちに共感しにくかったです。

結局、トラウマを持つ同士だけが分かり合えて、外の世界と断絶したまま。安易に物事を解決させないという作り手の想いがあるのかもしれませんが、あまりに現状認識のみで希望の薄い展開に、納得感が持てませんでした。

それと気になったのは、主人公の2人が根本ではリア充っぽいところです。広瀬すずのルックスでそこそこ社交能力高かったり。おしゃれカフェでこだわりのコーヒーを淹れていたり美人の彼女がいたり。そんな風に現状にあまり悲愴感がない所に、無理にDV彼氏を配置したりしている感じ。彼のアパートにわざわざ少女を連れていくところも、ストーリー上の段取りをつけているとしか思えない流れだなと感じました。うかつすぎます。そして案の定の展開です。
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