ゆずきよ

流浪の月のゆずきよのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
4.0
ずっと気になっていた。
ただU-NEXT独占だったので中々観る機会は無いのかなって。
加入したからにはこういう作品を観ないと。

物語は、小学生の頃に誘拐された被害者とその被疑者。数年経ち少女は成長して大人の女性となりその被疑者である青年と偶然再会するという話。
冒頭は水が美しい映像。
趣里は姉御肌でタバコが似合う女性を演じるのが良いと思います。この時はまだそう思ってた。
ファミレスにしろ横浜流星にしろ無自覚モラハラが地味に一番腹が立つ。
序盤からずっと背中の届かない所を蚊に刺され続けている様な気持ち悪さ。
あまりに重苦しくて途中でエクレア休憩を挟まなければ観ていられないほど。
そして過去とリンクしていき物語はより複雑な方向へ動き出します。
それにしても広瀬すずは泣きの演技が凄いなぁ。
中盤頃で蚊だと思っていた気持ち悪さはどうやらスズメバチだったという事に気付く。
食べても食べてもこのたこ焼きタコが入って無いんだよねというくらい期待を裏切る希望の無さでもうゲロ吐きそうです。
登場人物それぞれの正義というか大義名分はあるし私刑は良くないのは当たり前なんだけど、何も知らなければ私だって傍観者ではあると思います。
事情があるのは理解していたとしても子を持つ親としては絶対に容認は出来ないしね。
終盤へと差し掛かり背中の不快感はハチの毒が回り切った後にヤマアラシに突き刺されている事に気付く。
もうタコの無いタコ焼きなんてどうだって良いです。
そもそも最初からこの皿には食べ終わったソースしか無かったんだと気付かされました。
でもそこにタコ焼きあるでしょと世界中の人から言われたら食べるしか無いじゃない。
他に救いは無かったのかな。
何処かで少しだけ違う事をしていれば、何かに頼る事が出来ていたのだとすれば違った結末もあったのでは無いかと思います。
結局これはどういう感情で観るのが正解なのだろうというラストを迎えてエンドロールを観ました。

U-NEXTで観たので未公開集が付いていました。
泣く泣くカットしたという言葉通りに物語を補填するのには必要な映像も多々あった様に感じます。
周囲の優しさ、白鳥玉季との絆、横浜流星の内面など逆にこの映像を観てから観たらまた違った印象を受けるかも。
三浦貴大はこの映画の良心だったけど別の映画では松坂桃李の役どころだったので私の中でだけ奇妙なリンクをしてしまいました。
多部未華子や柄本明の物語への関わり方も面白かった。
あくまでも松坂桃李×広瀬すずに対しては余計な要素かも知れませんが、私はこの補填があった方が登場人物に血液を感じられて奥行きがあって良かったと思いました。
ただ当初の必要シーンをまとめると4時間の映画になってしまったのでそれを考えると致し方無い。
編集するのも大変な仕事ですね。
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