このレビューはネタバレを含みます
学校帰り、家に帰らず1人公園で過ごす更紗
雨が降り出すが帰ろうとはしない
同じ公園内にいた文が傘を差し掛ける
「帰らないの?」
「帰りたくない」
「うち来る?」
更紗は自ら文の家へ向かう。
文の家で自由に自然に過ごす更紗
「帰りたい時に帰っていいんだよ」
その自由さを寛容する文。
季節が変わったある日、TVから自分が居なくなった事が事件になっている事を知り慌てる更紗
「誘拐犯にされるより、人に知られたくない事を知られてしまうのが怖い」
文は静かに話す。
湖で水遊びをする更紗を優しく見守る文
まもなく何台ものパトカーがやって来る
「逃げて」
更紗の声は文に届かない
繋いだ手は離される。
15年後、ファミレスで働く更紗には企業勤めで同棲する亮がいた
更紗の過去も知った上で実家の両親に会って欲しいと言う亮に更紗は曖昧な返事を返していた。
ある日、同僚でシングルマザーの安西に連れられ入ったカフェで文を見つける
まるで変わっていない文に釘付けになる更紗
文は何事もない様子でコーヒーを淹れる
その日から更紗は頻回にカフェへ通い始める。
仕事を終え家に帰っても更紗がいない事に、次第に苛立ちを見せる亮
更紗の職場にシフトの確認電話を入れたり、突然カフェに現れ「更紗にカフェ巡りの趣味があったなんて知らなかったよ」と笑顔を見せる。
文と話しがしたい更紗は夜、カフェの前で店を終え出てくるのを待つ
女性と連れ立ち出てきた文に困惑しながらも声を掛けると「よくお店に来てくれる方ですね」と会釈される
何も言えずフラフラと2人の後を追い、一緒のマンションに入っていくのを確認すると文の幸せを安堵する。
更紗が家に戻ると亮が部屋でうずくまっている
酷く、強く更紗の手首を掴み「祖母が入院した」と告げる
見舞いの為亮の実家へ行く更紗
温かく迎えてもらうが何かよそよそしさを感じる
夜、洗面所で顔を洗っていると「その痣、亮君のせいでしょう」と
「家族は皆知っている、前の彼女の時にもそういう事があった。彼女も不幸な生い立ちで、何かあった時逃げ場のない人がいいみたい。」と
当人達にしか分からない事はある
他者に到底受け入れられない事もある
社会で生きていくのに許してはいけない事がある
人の心は見えない故に理解しがたい
何が本当だったのかも他者には分からない
誰が許して誰が許さないのか
誰も許さないのか