タンシロ

流浪の月のタンシロのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
3.7
多様性としては今話題の正欲より弱いけれど、欲の抑圧についてはこちらの方が純粋な悔しさと、最終的な救いを感じられた気がする。こういう映画みるとメッセージはとてもシンプルで、マジョリティな人は人(たとえばマイノリティな人たちやマイナーなフェティシズムを)見たいようにしか見ないし、排除や悲哀の対象としてみなそうとすることへのカウンターなんだけど、だからこそ、マイノリティ側を理解すべきってのはただただ烏滸がましくて傲慢だと感じてる。逆に、まっとうに成人の異性に性欲を感じること、お酒や薬物ではなく、空気を吸うだけで日々を生きられること、物理的な繋がりがなくても、精神的な繋がりがあれば安心が得られること、そういう当たり前のことが当たり前にできる幸せにちゃんと気づいているかってことが大事なんだと思う。多様性なんて理解しなくても、マジョリティ側にいる自分を幸せだと思えるかどうかがそもそものスタートラインではないかな。
タンシロ

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