役者の演技に魅せられる映画。
家に帰りたくない少女・更紗(白鳥玉季)と、彼女を家に招き入れた孤独な大学生・文(松坂桃李)。居場所を見つけて幸せを噛み締めた夏の終わり、文は「誘拐犯」、更紗は「被害女児」となった。それから15年後、二人は偶然にも再開してしまう…。
世間一般からは全く理解されない、更紗と文の関係。バレたら好奇の眼差しにさらされてしまう関係。自分たちの物差しでしか、物事を測れない人間にとって、更紗と文の関係性は異常でしかない。何もわかってない人たちが勝手な憶測で、二人のささやかな幸せを壊してしまうのには胸が痛くなった。
正直、文が更紗の保護者などに何も伝えずに、更紗を家に置いていたのはよくない行為だったと思う。でも、何もなかったわけだし、よっぽど更紗のおばさんの息子のやってることのほうがひどいので、更紗がそのことを警察に言えたら、また違ってたのかなぁ。
今作は、俳優たちの素晴らしい演技で支えられていたと思う。特に大人の女優にステップアップした広瀬すずや死んだ目をして終始抑え目の演技していた松坂桃李、かっこよさを封印し、どんどん内面・外面ともに恐ろしくなる横浜流星はすごかった。
原作既読だったけど、俳優たちの演技力のお陰で、より登場人物の感情がダイレクトに入ってきて、小説より感情移入できました。