ぺち

流浪の月のぺちのネタバレレビュー・内容・結末

流浪の月(2022年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

公開当時から絶対観たいと思ってたんだけど原作読んでからかなぁとか思って諦めて、
結局まだ原作読めてないのにずっと待ってた配信が来たので嬉しすぎて観てしまった、
ありがとうございます…😭😭

150分ってこんなにあっという間だっけって思った、
最初から最後まで息をするのもまばたきをするのも忘れそうなくらい強烈に作品の世界に惹きこまれた、凄かった、
“怒り”の監督だし、キャストの面々といい原作の内容といい、期待しかしていなかったけど、本当に久しぶりに良すぎてため息が溢れるくらい良質な邦画を観たと思ったし映画館でみたかったって真剣に後悔してます、、
小説の方は読んでいなくても、原作の世界観を大事にすごく忠実に丁寧に作られた作品なんだろうなということが伝わってきた、
人の表情ひとつひとつの映し方や音、光、影、とか映像演出すべてが印象的で、苦しすぎて泣いてしまうのに月のような温かさも少しだけ心に残してくれる映画、

感じたことはいっぱいあるけれど、少なくとも更紗と文の関係性や2人のことについては、私は何も言葉にしたくないです、
文が「更紗は更紗だけのものだ」ってあの時言ってくれたのと同じように、
2人の関係は2人だけのもので、
見たいものを見たいようにしか見ない外側の人たちが何を言ったって、決めつけたって、そんなものには何の価値もないから、
ただ更紗と文が息をしやすい場所にどこまでも流れていって、誰にも邪魔されないところで生きていてほしいと私は勝手に願うことしかできない、
それ以上でも以下でもないし、それだけでもう充分だと感じた、


この作品だけでなく色んな作品を観ていても度々感じること、
人は見たいものを見たいようにしか見ないということ、
それは日々日常生活を送っている中でも嫌というくらいに感じることだからこそ、
作品全体が訴えてくるものの重みが苦しくてたまらなくて胸が詰まりそうだった、
怖くてどうしようもなかった、

他人のことなんて何にもわからない、
自分の目に映る今ここから見えている世界はほんの一部でしかない、
分かっているつもりでいてもどんなに意識しようとしていても不安になる、
本当か嘘か、事実がどうかなんて何にもわからないような情報に溢れているこの世界で、
「あなたに何がわかるの?何を知ってるの?」て言ってしまいたくなるような知ったかぶりや勝手な決めつけ、好き勝手な解釈をする人に傷つけられている人は世の中にたくさんいる、というか世の中そんなことばっかりだと思う、
そんな人たちを軽蔑する気持ちは持っていても、同時に自分は絶対にしない、してないと言い切ることができないとも思ったし怖くなった、生きていてある程度染み付いてしまった固定観念や先入観を全てまっさらにした状態で生きるのは難しいから、
でもだからこそ、自分だけの狭い視野から見えているものだけで何かを決めつけようとしたり、求められてもいない判断を勝手にしたり、自分から見えていない世界があることを想像するのを放棄するようなことだけは何があってもしたくないって改めて心に深く刻みました、

俳優陣はもう全員言葉もないくらい素晴らしかったけど、横浜流星の振り切り方がとんでもなくて心配になるレベルだった、
もう二度と顔も見たくないと思ってしまうくらい凄まじい芝居だった、これは褒め言葉だけど元がキツイ顔してるのも相まって役となじみすぎて本当に怖かった、、
すずちゃんは“怒り”の時も体当たりの役を演じ切っていて驚かされたけど今回もさすがだったな、、表情の微妙な変化とかで感情が伝わってくる繊細さ、、
松坂桃李は言うまでもないけど娼年といいこれも役への向き合い方が凄いなぁ、引き出しいっぱい持ってる、いつも演技好きだけどまた見たことない桃李が見れてとても良かったです、
多部ちゃんは出演シーン少なかったけど最後とか本当に忘れられない、吐きそうだったって涙目で文のこと睨んでたあの表情が脳裏に焼き付いてる、
あともう白鳥玉季ちゃんは錚々たる大人メンバーと肩を並べてこの作品に抜擢されてるの納得すぎる、ほんとにいつもありえないくらい上手いと思う、凄すぎる、出てたら観たいと思っちゃう


これはほんとに早く原作読みたいし原作読んでからまた観たいなぁ、
この監督の作る映画は本気すぎるなぁ、邦画好きな人絶対観てほしい、、濃密すぎる150分でした
ぺち

ぺち