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流浪の月のZooのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
3.9
女児誘拐犯という経歴を持ち「ロリコン」とレッテルの貼られる文と文に「誘拐された被害者」というレッテルが貼られた更紗が大人になって再会するというサスペンスヒューマンドラマ

かなり重厚な話で、ダークな内容
法律上では悪とされる出会い方だが、本人らにとっては拠り所となる存在同士であった2人の話

誘拐犯とはいっても、公園で雨の中、家に帰りたくないという少女を家に泊めたことをきっかけに一緒に暮らし絆を深めていた2人がお互いに必要な存在になっていったものである

基本的に家族に問題があり、親から見放された文と引き取り先で性的被害にあった更紗がお互い傷を舐め合う様な関係とはいえ安心できる環境になれるのであれば、それは法が許さないとはいえど他者から理解されないといえど尊重されるべき関係と思われる

そもそもこういった人を救えない社会の構造自体が良くないとは思うが、犯罪を防ぐ側面もありかなり難しい問題でもあるとも理解できる

また文の持っている病気とそれに起因する苦しみ、まただからこそ幼い更紗に親近感を感じ親身になるのも理解できるし、ロリコンとは似て非なるものと理解できる
一方でレッテルによる先入観による人の攻撃性なども表現されており、仕方ないことなのかもしれないがかなり心苦しくなる

役者もすばらしく、「自分に刃向かわないDV男としてかなりリアルな横山流星や文の今の彼女の多部未華子もちゃんと役を表現していた
主役の2人も実力を感じ、登場人物がちゃんと「人」であった

社会の課題と社会からあぶれた人たちのことを考えさせられる良作

2024年初見45作品目
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