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流浪の月のmofaのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
4.2
【松坂桃李がやっぱり凄い】

原作の実写化は、それなりに観れるものに仕上がってたら、
それだけで合格点をあげてしまう傾向にある(笑)
 「正欲」に続き、
私の好きな小説を実写化。
 これまた、間違いない松坂桃李様。
そして、李相日監督となると、
なかなか良い感じになるんじゃないかと。
ただね・・・
広瀬すずさんと横浜流星さんが、
私の中では、
けっこうネックだったんだよね~。

 そんな私の心配なんぞ、
軽く超えてきてくれて。
いやいや、なかなか、
見応えのある作品になっていたと思う。
 
原作の世界観を壊さず・・・
文や更紗の苦悩が、軽んじられたり上滑りなものになることもなく、
表現されていて、良かったな~と思う。

では、以下ネタバレなんですが・・・・。
横浜流星さんファンの方は、
読まない方がいいかもです。
私は、松坂桃李を褒めまくってます(笑)

☆ネタバレです☆
 
まず、素晴らしかったのは、
広瀬すずさんと、
その子役ちゃんのシンクロ率ですよね。
 これは、本当に素晴らしかったと思う。
 特に、子役のキャラにきちんと寄せてきた広瀬すずさんは、
私の中で、「演技下手」
女優さんから(←失礼)
無事に卒業されました。
おめでとうございます!
 
特に、亮くんに見せる表情と、
文に見せる表情の違い。
文の前だと、昔のままの、
更紗に戻る変化が、
良かったな~と思いました。

あとは、色気だけだ!!(笑)
ベッドシーンあったけど、全然、
色気なくてビックリしました。
でも、これはこれで、
亮くんを愛していないという
表現だったのだよね。
(広瀬すずさんて、本当に綺麗なんだけど、
どうして、色気がないんだろう・・・・って
いつも思う)
 でも、文の前では、
もう少し色気が欲しかったように思う。
文の
「更紗は大人になったのに、僕は・・・」という台詞の整合性が
取れないというか。

 いや、更紗は、
昔のまんまじゃね??って思っちゃう。
確かに、身体的には大人だろうけど、
文の取り残された感というのは、
身体的にも精神的にも・・・
だと思うんだよね。
 

そして、巷では怪演だと評価の
高かった横浜流星さん。
いやさ。。。。
 この作品、横浜流星さん広瀬すずさんの演技が評価されがちですけどね・・・・。
私は声に出して言いたいよ・・・・。

この作品の最大の怪演は、
どこをどう切り取っても、
松阪桃李さんですから!!
 ホント、この松阪桃李様の
演技の深みの凄さたるや。

地味だから、評価されにくいけども。

横浜流星さん、
確かに良かったんですけどね。
ハッキリいって、DVの役とかって、
評価されやすいというか・・・・
 でも・・・DV彼氏だけど、
横浜流星さんなんですよね。
私、横浜流星さんを評価出来ないのって、
ここなんですよね・・・・
 何を演じても横浜流星の域を
出ていないというか。

DV役なら最後の最後まで、そういう人間でいてくれないと思うわけ。
しかも、容赦のない暴力を
振るってたワケでしょ??
でもさ、更紗が、マンションに行くと、
髭を生やした亮が出てくるんだけど。

マジで、
無精ヒゲの横浜流星最高!!!
って思っちゃうんだよ。
しかも「SNSの情報流したのは俺じゃない」とか言ったらさ、
なんか、それで、ちょっといい奴!!
みたいに見えちゃうのって、
それ、違う!全然、違う!!
って言いたくなっちゃうんだよね。

いや、でも、私、横浜流星さんには結構期待してて・・・というか、
いつか化けるんじゃないかと・・・・
そういう意味でも、
彼の作品はチェックしてしまうんですよね。
(そして、その度に、
横浜流星イマイチ!!って
書いてしまう勝手な人間なんだけど・・・)

 やっぱり、
そういう意味では松坂桃李さんは、
間違いなかった。
 言いたい事も言えず、
その歯痒い感情さえも、
閉じ込めて。
 もう、どうしようもない
諦めの境地に立たされて。
 それでも、自分の根っこと
向き合おうとして。
お母さんに「ぼくは、ハズレ?」
だと問うシーンや、
総てをさらけ出すシーンは、
本当に、胸が押しつぶされそうになった。
  
最後は衝撃的な場面のはずなのに、
文の痩せた体躯、自信のなさそうな姿勢
もう、それが彼の人生を
全部表現しているようで、
松坂桃李さんは、体全部で、
表現出来る稀有な俳優さんなんだと、
改めて感じた次第です。

最後は、少し光のある終わり方が、
すっごく余韻として良かったし、
タイトルのように「流浪の月」に
きっちりと着地してくれたな~と思う。

 文と更紗が、こうして通じあい、
絆を深め、
それは何年経っても、
色褪せなかった。
 その見えない繋がりに、 
違和感を持たせなかった事が、
この作品をより深いものに、
より高尚な域へと導いたと思う。
 その核になったのは、
松坂桃李様の演技力に他ならない。

ちなみに、多部未華子さん・・・というか、
文の恋人の描き方は、
イマイチだったよね・・・。
なくても良かったような(笑)

いやいや、それはそうと。
内田也哉子さんって、私、
初めて演技観たんですけど。
あの存在感なんなん??(笑)ってなった。
少しだけの出演だったけど、
その存在感や目線だけで、
「毒親」具合を感じて、ゾゾってなった。
 もっと、作品出て欲しい。
樹木希林さんソックリって意見も
散見したけど、
私は、それ以上の存在感を感じたわ。
 樹木希林さんの若い時と似てるのかな。
(年取ってからの樹木希林さんの
記憶だからな)

そしてそして、趣里さん、
今回も良かったですよね。
毎回、どんな役なのかな??って
楽しみな女優さんです。




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