こざら

ARGYLLE/アーガイルのこざらのネタバレレビュー・内容・結末

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

『キングスマン』のマシュー・ヴォーン監督が新たなスパイ映画を作ったかと思えば、まさかの『キングスマン』シリーズでした!?

今作の『キングスマン』要素は単なるセルフオマージュやメタ的表現に留まりません。

本編冒頭に「敵からするとアーガイル陣営がテロリストだ」というニュアンスのセリフがあります。今作の1番大きな伏線は間違いなくここです。

今作は『キングスマン(1作目)』の前日譚であり、1作目の敵陣営を主人公に据えた奇想天外な作品であると私は考えています。

ということは、1作目でラスボスとして登場したサミュエル・L・ジャクソン演じるヴァレンタインは、今作のアルフィーと同一人物だと言うことです。

アルフィーがヴァレンタインだと仮定すると、IT担当のキーラが次のスティーブ・ジョブズになる展開も、レイチェルが受けていた洗脳も、既に我々は目にしています。1作目でヴァレンタインがバラ撒いたSIMカード。これは、レイチェルの洗脳技術を応用してキーラが開発したものではないでしょうか?『キングスマン』の世界では、SIMカードを持っていない一般人は居なかったのでまさに第二のスティーブ・ジョブズです。

ただ、この展開を続編にとっておくためには、今作の対立が起こっている根本原因を描けないというデメリットがあります。そこが今作の難解さやスッキリしなさを助長してしまっていると感じました。

完全な予想にはなりますが、キングスマンとは異なり、今作のディヴィジョンは政府機関のスパイ組織であり、バクーニンはじめ無政府主義者たちが反乱を起こした話が今作の概要かもしれません。エンドクレジットはその出来事全体を裏で操るキングスマンを示唆していたら最高にかっこいいですね。今作のバディがキングスマンのバディと合流する日を夢見てます。

マシュー・ヴォーン新作という知識のみで鑑賞したので、ひたすらに激アツなエンドクレジットでした。


また、ここまで熱くなれたのは、同一ユニバースであることを強く主張せずに作品単体でしっかり盛り上げてくれたからだと思います。

既存のスパイ映画を予定調和として使うギャグパート、そしてその予定調和をぶち壊すマシュー・ヴォーン節全開のアクションパートは、まさに私が求めていたものだったので最高の時間でした。

ただ、VFXがニセモノっぽいと感じることが多々ありました。最後まで観ると、どこまでがフィクションでどこからが事実なのか、分からない感じが逆に良かったのかもしれません。

また、やりたい事を詰め込みすぎたためか、ご都合展開と感じる箇所も多々ありました。しかし、それを超える演出の数々で、よりマシュー・ヴォーン監督を好きになりました。

ただ1つだけ納得行かないのは猫要素ですね。想像以上に雑な扱いでびっくりしました。無くても全然成立する気がしました。


史実とフィクションを交えながら、これから大きく拡大していく「キングスマン」の世界を心から楽しみにしています。
こざら

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