炒飯

ARGYLLE/アーガイルの炒飯のネタバレレビュー・内容・結末

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

マシュー・ヴォーン節全開のゴキゲンなアクションはとても楽しめたのだけど、それ以外の要素が軒並みマイナスで、全体としてはいまいち刺さらなかった。

事前情報無しで観に行ったため、キービジュアルがミスリードで冒頭からいきなりの劇中劇オチに肩透かしを喰らい(最後まで見れば仕込みの一環であったことはわかるが)、そこから「じゃあどういうお話なのか」が見えてくるまでが長い。
正直なところ序盤は明確に「つまらない」と感じてしまった。退屈を超えて苦痛なレベル。
劇中劇(小説)のイメージシーンが度々挿入される演出構成もくどくてダサい。ダサかっこいいとかダサ面白いとかでもなく単純にダサいので楽しみ方がわからない。

コメディとしてもキレが悪く、かといってシリアスに見られる作りでもなく中途半端。
キングスマンにあったようなエグみや毒が無いぶん、メリハリも刺激もなく終始ぼんやりとした味付け。
ヒロイン自身がスパイだったという1個目のどんでん返しからやっと面白くなってくるがそこまでが長すぎるし、その後も1シーン1シーンがくどくて冗長に感じる点が多い。
このプロットならもっとテンポよく怒涛の展開で転がしてほしかった。

キングスマンと比較してキャラクターの魅力にも乏しく思えるのがいよいよ辛い。
ヒロインがやや恰幅のいい中年女性で、(相手役がいまいちキマりきらない中年男性であるのと同様)ギャップやミスリードを狙ってあえてのことだろうとは思うものの、物語にのめり込めていない状態で見るには絵面の華のなさが「せめてそこくらいは楽しませてほしかった」というトドメになってくる。
後半のせっかくのドレスアップも「いや、太いな…」という素朴な感想がノイズとなって頭から離れない。
凄腕スパイの男女バディもので結局恋愛要素に着地してしまうのも個人的に合わない点の一つ。

等々、不満は多いもののアイデア満載のアクションシーンはさすがの出来栄えで、大暴れの後半はそこそこ楽しめた。
原油スケートには最高にブチ上がったし、実は生きていたキーラの登場はそれまでの丁寧な伏線もあって素直に大喜びした。
あと、猫がとてもかわいい。かわいいしポイントで活躍するし死なないのでよかった。キングスマン2で犬を雑に死なせたのをいまだに許せていないので最後までハラハラしたがよかった。かわいい。
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