脳みそ映画記録

ミラベルと魔法だらけの家の脳みそ映画記録のネタバレレビュー・内容・結末

ミラベルと魔法だらけの家(2021年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

インザハイツが始まったのかと思った!
ミラベルのキャストとか曲の製作とかみるとやっぱりインザハイツじゃないか!

鮮やかな色の使い方とラテン系音楽!キャラクターもよく動いてミュージカルシーンについては、群を抜いてよかった。文句のつけようもない。
家族の紹介シーンはノリノリ良い曲でテンションも上がり、観客を引き込み、キャラクター説明も済ませるという、ミュージカルのお得意の技が光ります!

キャラクターも良かったです。主人公のミラベルも可愛いし、姉たちも魅力的に描かれています。特に家自体がカシータというキャラクターであり、可愛くみえてきます。めちゃくちゃ便利で本当にあれこそスマートホームですよ。
キャラクターとしての家ってディズニーだと短編の「ちいさなおうち」以来じゃない?
そういえば、ミラベルって他のディズニー主人公とちがって珍しくサイドキックが居ませんね!いろんな意味で新しいキャラクターです。


ポリコレとか言われているけど、仮にポリコレだとしても既存の作品をいじくりまわすやり方より、こうやって新しい作品で表現してくれるのが正しい姿。この路線を行きたいならこのやり方でお願いしたいですね。

ストーリーについては、少し残念な印象でした。
着地点として“魔法がなくとも特別な存在に変わりない”っていうところなんだろうけれど、それに持っていく方法がちょっとこれでいいのかな?って。
だって、今回の事件である魔法の喪失って、家族の内包していた気持ちが家のヒビという形で現れた訳ですよね。
ミラベルはギフトを貰えなかったという劣等感、アルマおばあちゃんは家族の魔法で町の維持に努めなくてはならないという執着心、ブルーノは愛する家族と一緒にいられない孤独感、イサベラは優等生を演じ続けるため綺麗な花を咲かせ続け、ルイーサは街のみんなの信頼がプレッシャーになっています。
でも、元はと言えば魔法自体が諸悪の根元じゃない?どうしてギフトを与えたの?どうしてミラベルだけには与えなかったの?
魔法がなくてもみんな特別さ!ってはなしなら魔法は取り戻せないほうが良かったのでは?
結局、この先また同じようになっていくビジョンしかみえないのです。


ディズニーの長編アニメーションは『白雪姫』からそうですが、"未知の世界へ旅立つ"ものが殆どです。
本作はほぼ家の中の出来事で非常にミニマムな範囲のストーリーです。大きなヴィランズも出てこず、打ち負かす相手がいないのです。
これって以外に新鮮ですよね。
すでにあるものを壊し、それを取り戻させることで新たな人間性の成長を描くタイプのジャンルかなと思うのですが、それってラストがすごく大事で、取り戻して何もかも元通り!ってゼロがマイナスになってゼロに戻った感じがします。どうせなら1になる未来を分かりやすく表現してほしかったです。
たしかに、魔法を失って登場人物たちの内面は改善されたように思います。特にブルーノは家族に戻れたので明らかに改善です。街の人もマドリガル家頼りの姿勢を改め、ミラベルも自分が魔法など無くても特別だと知り、アルマおばあちゃんも大切な気持ちを再確認しましたね。きっと、魔法が戻っても継続できると思うのですが、心のねじ曲がったものの感想としては魔法が戻ったら元に戻るんじゃないかってことです。

まあ、悪いところも書きましたが、ミュージカルシーンは非の打ち所もなくすばらしかったし、いくつかのシーンは感動して泣きましたし、良い映画なのは間違いないです。


ちなみに、隠れlet it go ありましたね!!