rensaurus

ミラベルと魔法だらけの家のrensaurusのレビュー・感想・評価

ミラベルと魔法だらけの家(2021年製作の映画)
4.1
アルマおばあちゃんは移住の際に愛する人を失った移民であり、家族を守ろうとするあまり家業である魔法に固執して家族を幸せにするという本来の目的を見失った毒親として描かれた。

ミラベルは能力を手に入れられなかったのではなく、家長の役割を担う人物に与えられる「奇跡」をおばあちゃんから引き継いだのだと思った。冒頭で説明があった蝋燭は、エンドで消失することからミスリードであることが分かる。また、ミラベルが魔法がないことへの劣等感を抱えながら、家族一人一人のありのままを認め、支えようとする姿には激しく心を揺さぶられた。そしてその打たれ強さ、万人に寄り添う姿、問題解決に向かって臆することなく立ち向かう様には感動と尊敬を覚えた。ディズニーの中でもかなり魅力的な主人公だと思う。

力持ちの姉ルイーザは能力のみに存在意義を感じ、プレッシャーに苦しむ存在。花を咲かせる姉イザベラはおばあちゃんが望む方向に能力を矯正し、自分を見失う完璧主義な存在として描かれ、様々な境遇の人が共感できると思う。特に、ミラベルとイザベラはアナとエルサと重ねられ、アナ・エルサ時より、姉妹の存在によって自分が自分らしくいられることが強調されたように思う。「本当のわたし」は個人的に名曲だと思っている。

家族を失う恐怖から完璧を求めてしまうアルマおばあちゃんと、一見すると魔法がもらえず、引け目を感じていたミラベルとの和解は、一度離れた2人の心が再び一緒になる感動のシーンで、本音で語ることの難しさと大切さを深く感じることができた。

おじのブルーノを取っても、真実の断片を見たのにも関らずそれを隠したり、周りもそれを煙たがったりして、逆に不和が広がるだけだったので、曝け出して認めることがいかに重要かが痛感できる。

楽曲や映像がかなり作り込まれており、目や耳はずっと楽しい。自分がラテン系の雰囲気や音楽が好きなことも相まってかなり好きな作品になりました。
rensaurus

rensaurus